赤ずきんちゃんの童話を通して、「寄り道したら危ないよ。」という教訓を子供に楽しく教えることができます。小さいお子さんには教えておきたいですよね。ぜひ寝る前にお子さんに読み聞かせてあげてください。
プロローグ
むかし、むかし、あるところに、小さくてかわいい女の子がいました。
それは誰しもがかわいいと思うとてもかわいい子でした。
あるとき、女の子のおばあちゃんが、赤い布で、女の子にずきんをこしらえて、女の子にかぶせました。
すると、それが女の子にとてもとてもよく似あうので、女の子も赤いずきんを気に入って、毎日赤いずきんをかぶるようになりました。
それから、女の子は「赤ずきんちゃん」とよばれるようになりました。
ある日、赤ずきんちゃんのおかあさんが、赤ずきんちゃんにおつかいを頼みました。
「赤ずきんちゃん、ここのかごの中にはお菓子がひとつと、ぶどうのお酒が1びんあります。これをおばあさんのところへもっていってほしいの。
おばあちゃんは、ご病気でよわっているけど、これをあげると、きっと元気になるでしょう。
おつかいの最中に遊びたくても寄り道したらだめよ。森にはオオカミもいるし、悪いことが起きる予感がするわ・・・
それから、おばあさんのおへやに入ったら、まず、おはようございます、を元気に言うのをわすれずにね。」
「わかった。おつかい頑張るね。」
と、赤ずきんちゃんは、おかあさんと指きりして、出かけました。
おばあちゃんのお家へ
おばあさんのおうちは、村から半道はなれた森の中にありました。
赤ずきんちゃんが森に入りかけると、オオカミがひょっこりでてきました。
でも、赤ずきんちゃんは、オオカミって、どんな悪い動物だか知りません。
そのため、特別こわいとも思いませんでした。
オオ:「赤ずきんちゃん、こんちは。」
と、オオカミはいいました。
赤:「こんにちは、オオカミちゃん。」
オオ:「たいそうはやくから、どちらへ。」
赤:「おばあちゃんのところへいくのよ。」
オオ:「かごに入っているものは、なあに。」
赤:「お菓子に、ぶどう酒。おばあさん、ご病気でよわっているから、おみまいにもってってあげるの。これでおばあさん、元気になってくれるわ。」
オオ:「おばあさんのおうちはどこさ、赤ずきんちゃん。」
赤:「これからまた、もう少し森まであるいてね、大きなかしの木が、三本立っている下のおうちよ。おうちのまわりに、くるみの生垣があるから、すぐわかるわ。」
と、赤ずきんちゃんは、教えました。
それからも、森の中を歩いていると、赤ずきんちゃんは、綺麗なお花畑を見つけました。
おつかいの途中でしたが、綺麗なお花を見て、お花を摘みたくなってしまいました。
そうこうして、赤ずきんちゃんはお花を集めるのに夢中になってしまい、お花畑で寄り道してしまっていました。
お花が持ちきれないほどになったとき、
お母さんが「遊びたくても寄り道したらだめよ。」と言っていたことを思い出しました。
おばあちゃんが待っていることを思い出して、赤ずきんちゃんはすこしだけ反省して、またおつかいにもどりました。
一方、オオカミは赤ずきんちゃんに気付かれないように先回りしておばあさんのおうちへかけていきました。オオカミは、心の中で考えていました。
「若い、やわらかそうな女の子、おいしそうだ。ついでにばあさんと赤ずきん両方一緒に、ぱっくり食べてやろう。」
そして、オオカミは赤ずきんちゃんよりも先におばあちゃんの家に着き、とんとん、戸をたたきました。
おば:「おや、どなた。」
オオ:「赤ずきんちゃんよ。お菓子とぶどう酒を、おみまいにもって来たのよ。あけてちょうだい。」
おば:「おばあさんはご病気でよわっていて、起きられないのだよ。鍵は開いているから自分で扉を開けて入ってきて。」
オオカミが、とっ手を推すと、扉がボンとあきました。
オオカミはすぐさまにはいり、なんにもいわずに、ベッドで寝ているおばあさんをアングリひと口に、のみこみました。それから、オオカミはおばあさんの着物を着て、おばあさんのベッドにごろりと寝ました。
赤ずきんちゃんがおばあちゃんの家に到着
寄り道をしてしまい、少し遅くなった赤ずきんちゃん。おばあさんのうちへ来てみると、戸があいたままになっているので、変だとおもいながら、中へはいりました。すると、なにかが、いつもとかわってみえたので、
「へんだわ、どうしたのでしょう。きょうはなんだか胸がドキドキして、きみのわるいこと。おばあさんのところへくれば、いつだってたのしいのに。」
と、おもいながら、大きな声で、
「おはようございます。」
と、よんでみました。
しかし、おばあちゃんから返事はありませんでした。
そこで、部屋の中に入ると
おばあちゃんがベッドに横になっていましたが、
なんだかいつもと様子がかわっていました。
赤:「あら、おばあさん、なんて大きなお耳。」
オオ:「おまえの声が、よくきこえるようにさ。」
赤:「あら、おばあさん、なんて大きなおめめ。」
オオ:「おまえのいるのが、よくみえるようにさ。」
赤:「あら、おばあさん、なんて大きなおてて。」
オオ:「おまえが、よくつかめるようにさ。」
赤:「でも、おばあさん、まあ、なんてきみのわるい大きなお口だこと。」
オオ:「おまえをたべるにいいようにさ。」
オオカミは、いきなりベッドからとびだして、
かわいそうに、赤ずきんちゃんを、ただひと口に、アングリ食べてしまいました。
これで、おなか一杯になったオオカミはベッドに寝そべって休みました。やがて、ものすごい音を立てて、いびきをかきだしました。
グーグー・・・・zzzz
赤ずきんちゃん救出
しばらくするとちょうど、かりうどさんが家の前を通りかかって、はてなと思って立ちどまりました。
「ばあさんが、すごいいびきで寝ているが、へんだな。
何かかわったことがあったんじゃないか、どれどれ確認してみよう。」
窓から家の中をのぞくと、お腹を膨らましたオオカミが横になっていました。
「このばちあたりめが、なんてことを。また悪さをしやがって・・・。」
そこで、かりうどは、すぐ鉄砲をむけましたが、オオカミのお腹がウニョウニョ動いていることに気づきました。
もしかすると、おばあさんを丸呑みしていて、まだお腹のなかで、助かっているのかもしれない・・・・
とかりうどは予想しました。
そこで鉄砲をうつことはやめにして、そのかわり、はさみをだして、ねむっているオオカミのおなかを、ジョキジョキと切りはじめました。それでもオオカミはぐっすり寝ています。zzZZZ
赤いずきんがちらりと見え、もう少し切り進めていると、女の子がとびだしてきました。
赤:「まあ、あたし、どんなにびっくりしたでしょう。助かってよかったわ。かりうどさん、ありがとう。」
と、いいました。やがて、おばあさんも這い出してきました。
赤ずきんちゃんは、悪さをしたオオカミを懲らしめたいと思い、おおかみのお腹の中に、大きな石をいっぱい詰めました。
やがてオオカミの目がさめると、赤ずきんちゃん、おばあちゃん、そしてかりうどに囲まれていることに気づき、オオカミはびっくりしました。オオカミが逃げて外にとびだそうとしますと、お腹に入った石のおもみでバタッとへたばりました。さあ、三人は大よろこびです。
かりうどは、もう悪さをしないように説教をして、オオカミ毛皮をはぎ、オオカミを森へ逃がしてうちへかえりました。
おばあさんは、赤ずきんちゃんの持ってきたお菓子をたべて、ぶどう酒をのみました。それで、すっかり元気をとりかえしました。
赤ずきんちゃんは、「次からは、おつかい中に森の中で遊ぶのはやめましょう。おかあさんがいけないと、言ってたものね。」と、少し反省しましたとさ。
感想、最後に
童話でも人気の赤ずきんちゃんですが、ちゃんと子供の躾ができるような場面がありました。それは、寄り道したら危ないよ~という部分です。
子供は遊びに夢中になりやすくいものです。現代社会でも、おつかいや登下校中に寄り道してしまうと、車や不審者に遭遇する危険性が増えたり、迷子になってしまう可能性があります。赤ずきんちゃんを読み聞かせすることで、寄り道をしたくなる甘い誘惑があっても、赤ずきんちゃんを思い出して安全に帰宅する子供に育つのではないでしょうか。ボクはそう期待します。
昔の文章で子供たちが理解できないんじゃないかと思う部分も訂正して噛み砕いております。
皆さんの寝かしつけにもご利用いただけると幸いです。
参考データ
この文章は青空文庫という著作権フリーになった書物を参考にアレンジして掲載しております。
もし何かありましたら問い合わせフォームからご連絡いただけると幸いです。
グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール. グリム ヴィルヘルム・カール. 楠山 正雄. 赤ずきんちゃん. 青空文庫.
(参考:2022/6/25)
図書カード:No.42311
著者1:グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
生年:1785-01-04 没年:1863-09-20
著者2: グリム ヴィルヘルム・カール
生年:1786-02-24 没年:1859-12-16
翻訳者: 楠山 正雄(くすやま まさお)
生年:1884-11-04 没年:1950-11-26
青空文庫 収録ファイルの取り扱い基準
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